「動線」と「導線」

Webの仕事、特にディレクション関連の情報を閲覧したり発信する際に、いつも引っかかるのが「導線」と「動線」です。人前で説明をするときには「動線はサイト内でのユーザーの遷移状況、導線はサイトへの道筋」のようなもっともらしいことをいっていますが、どうもしっくりいきません。

辞書的な意味としてみた場合は、「動線」が適切なようです。「導線」は電流を流すための導体すなわち電線の意味しかありません。
Web制作と同じく設計という観点から建築業界を見た場合、使用例としては「生活動線」「家事動線」「看護動線」「動線計画」のように全て「動線」です。

では「導線」は誰が使い始めたのでしょうか。どうもそれは百貨店業界のようです。百貨店業界では、客を「導く」という意味で「導線」が使われています。日本百貨店協会では「「導線」を使うのが共通認識。客を目的の商品に向かって導くための線だから」と公言しています。また、コンビ二業界やホテル業界でも一部「導線」が使われています。「導線」は対象を「客」に限定した用語で、売り手側の視点で考えられた「客の行動予測」ということになりそうですね。

「導線」は限定的で「動線」が適切な使い方という結論にしたかったのですが、この二つを使い分けている極めて特殊な業界が存在します。IT・広告業界です。
しかし、やはりというか何というか、その違いはきわめて曖昧。しいていえば「ユーザーがWebサイトを見てまわった動きが「動線」、ユーザーをWebサイトの中で誘導するための仕掛けが「導線」」つまり、「動線」の主体は利用者側、「導線」の主体は設計者側ということです。この考え方には賛否両論あり、「動線」と「導線」の違いは重要で明確に区別するべきとする人たちと、そもそも「導線」というのは誤った使い方、「動線」に統一すべきという人たちがいます。

ここからは私見となりますが、正直「主体は設計者側」とは何だ?こう動いて欲しいのが「導線」で実際動いたのが「動線」?ふざけるなといいたいですね。「ユーザーがこのサイトを訪問している目的は商品Aの購入あるいは商品Aの情報収集だから、こういう設計にしておけばすぐに商品Aに到達できるだろう」が動線設計であって、実際のユーザーはこっちのバナーに寄り道してから商品Aに到達したから、導線と動線が違ってた」じゃないでしょう。明らかに動線設計が間違っていたのであり、「導線はこうだが動線はこう」という話ではない。そもそも私自身の考え方は、冒頭でも述べたとおり「動線」がサイト内の話であるのに対し「導線」はサイト外の話だと認識しています。どちらも主体はもちろんユーザーです。主体は設計者なんてありえない話で傲慢極まりないと思いますがね。
いずれにせよ、わたしも「動線」「導線」を使い分けていましたから、正しい言葉という観点から、これからはサイト内外問わず「動線」一本で表現することにします。

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